ぐうたら野菜生活。

世界のどこかで生きています。

キープサイコ野郎に幸あれと願う

 

はじめまして。上海と申します。

漫画ばかり読んでいる無職です。

 

キープサイコ野郎に幸あれと願う

 

私が今あいたい人は誰なのでしょうか。

「会いたい」のカテゴリに入る人は複数人いるのでしょうが、現状オンラインで会えることに満足してしまっているのか、中々思い浮かびません。

ただ、頭を捻りまくった結果、会いたい人が一人見つかりました。この人はオンラインでも会うことが出来ません。

私は都会の混濁した世界で少々派手に生きていた期間がありました。今の私は、田舎の綺麗な空気を思う存分吸ったり吐いたりしながら生きていますが、当時の私はニコチンがないと生きていけなかったようで、タバコのフィルターを介して呼吸をしているかのようでした。

今は吸っていないんだ。タバコ。

私が今あいたい人とは、よくタバコを一緒に吸っていました。汚い場所で一緒に吸っていました。人工的な喧騒の中で、にこにこ笑いながら吸っていました。

ある程度真っ白だった私は都会のカオスに交じり、様々な色に染まり、次第に真っ黒になりました。その人は、そんな世界に引き入れてくれた人でもあります。また、その人といるときだけは、なぜか真っ白だった頃の私に戻っているような気もしていました。そんなわけで、私はその人のことが本気で好きだったのかもしれません。

本気で好きだったから、そのような世界から逃げることもなく肯定し続けられたのだと思います。その人と離れた今、あのころの自分は本当に存在していたのかを疑いたくなるほどに、戻れない、という気持ちが大きいのです。

はじめて会った時、魔法がかけられたように、その人のことが魅力的に思えました。いつも元気で周りを明るく照らす太陽のような人間だと思いました。大きな身体に寄り添うと、心地がよく、いつまでも守ってもらいたいと思いました。

実際その人には、とても面倒をみてもらっていました。私が悲しいときや、わけもなく自信を失っているとき、弱気なときに、全力で励ましてもらっていました。思いかえすと、その人から否定されたことは一度もありませんでした。いつでも、あなたなら出来る、あなたなら大丈夫、と応援してもらっていました。

しかし私はどうしようもないやつで、財布が空になるまで遊びほうけたり、連日泥酔したり、授業をすっぽかしたり(私は当時大学生でした)、思い出すと頭を抱えたくなるような人間であり、そんな自分に嫌気がさして悲しくなると、その人から励ましてもらっていたので、このままでいいんだと気持ちよく解釈しておりました。最低ですね。

そんなわけで、私は中々成長できないまま煙草を吸う毎日を送っていましたが、出会いもあれば別れもあるわけであり、その人とも離れる日がやってきました。離れる日が近づくにつれて、その人の存在が私の中でどれほど大きかったかが身に沁みて痛いほどでした。私は自分から離れることにしたにも関わらず、1か月前からメソメソしていましたが、その人は相変わらず、大丈夫だよ、どこでもやっていけるよ、と励ましてくれておりました。

私とその人は、やや複雑な関係だったため、連絡先の交換はしませんでした。いや、しました。しかしLINEなどで気軽に連絡を取り合うことはせず、相手の電話番号をメモしただけでした。本当にここぞというときしか連絡を取り合わないと約束をしました。それは、お互いに成長しなければいけないことを分かっていたからです。お互いに好意があることも伝えあいました。それすらも最後の日まで伝えられずだったので、嬉しい反面、もう当分会えないことや、連絡も取れないことが、ひたすらに悲しく思えました。その人が最後に渡してくれた餞別の品が、あまりにもきれいだったので、おうちでわんわん泣きました。最低な私を、清いと言ってくれた、その言葉を肯定するかのような物でした。

そんなこんなで、引っ越して会えなくなってからも、それを眺めては、私にはあの人がいる、とお姫様気分で過ごしていました。その人は、4年後にお前を嫁にとる、と言ってくれていたのです。それを、心の底から本気で信じていたのです。じゃないと、今までかけてもらった言葉が全部うそになってしまいそうだったから。

そしてこの話を、地元の友達にしたときに、「そんなキープサイコ野郎やめとけ」と、言われました。

私キープされてるの?

そうに決まってるでしょ、4年って。サイコすぎ。そんな待たせるのに連絡は取れないってどういうこと?本当に好きだったら、好きって伝えたときに遠距離でも付き合いたいって言うだろ。どうとしてでも連絡とるだろ。

本当に鳥肌が立ちました。考えたくなかったことを正面切って言われたのです。そうだよなあ、きっと、そうだよなあ、ワクワクしながら4年後連絡してみたら、音信不通かもしれないよな。4年後なんか私、立派なおばさんだよ。自分から、やっぱり遠距離でもいいから、好きだから付き合ってほしいよと電話できないのは、約束が邪魔しているのではなく、断られそうだなと思っているからだと、本当の自分の気持ちに気付いてしまったのでした。しかし、私の友達は中々いい奴で、その人との思い出全部がうそになるわけじゃないと言ってくれました。

いま会いたい人というテーマで思い浮かんだ人が、その人だったので、やはり私はその人のことが本当に好きだったんだろうなと思います。今でもその人のことを、「キープサイコ野郎」だとは思いたくはありません。ですが私もいい大人なので、良い波が来たら乗る準備もしておかなくてはなりませんね。

また会えたら沢山話そうね。お元気で。

 

今週のお題「会いたい人」

 

上海