一歩そこに足を踏み入れると
はじめまして。上海と申します。
「体についた脂肪を減らす」と書かれたお茶を飲んでいます。
一歩そこに足を踏み入れると
素敵な服だなあ、と急いでいるにも関わらず、うっとりと鏡の中の自分を眺めました。
その日、私は、お友達のSちゃんとの約束がありました。14時に新宿に集合です。二人で、素敵な場所に行こうとしていたので、綺麗な服を着たかったのです。
朝、準備をしているときに、これから行こうとしている場所を思い浮かべると、家にある服だと場に合わない感じがしました。そこで、急いで駅ビルの中にあるちょっと良い服屋さんに足を運んだのでした。
すぐに、お店の奥の方に置いてあった黒いワンピースを試着しました。ここはもう直感です。似合えばいいなあと思いながら、試着すると、二の腕も良い感じに隠れ、丈も膝くらいでとても可愛かったのです。
ああ、やったあ、これは可愛いぞとテンションが上がり、そのワンピースに合う薄ピンク色のかばんも買ってしまいました。
さて、約束の15分ほど前に新宿に着きました。少しだけ高級感の溢れる服を身にまとい、同じようにおしゃれをしたSちゃんと東新宿を少し闊歩したあと、本当に高級なホテルへ足を運びました。足を運んだと言っても、途中からかなりの時間タクシーに乗っていました。前日からドタバタしていた私とSちゃんはタクシーの中で眠ってしまいました。
目を覚ますと、小さいころテレビで見ていた東京の姿がありました。うわあ、東京ってめっちゃ都会じゃんと新鮮に驚きました。写真をしこたま撮っていると、目的地であるホテルが見えてきました。かなり都会でした。
ホテルに到着して、一歩足を踏み入れると、私はその瞬間、お姫様か何かになってしまったのではないかというくらい、優雅な気持ちになったのです。背筋が伸びる気持ちです。その日買った一張羅がキラキラと輝いて見えます。同じくテンションが上がったSちゃんと、トイレで撮影会をしました。そのホテルは、トイレですらきらきらしていたのです。
そして、予約していたバーに入って色々と頼みました。メニューにはないものも作ってくれるらしく、「ウイスキーで甘いやつ(頼み方が庶民です)」というと、小さなバラが乗った甘いカクテルが出てきました。なんともオシャレでした。
そして店員さんが合図をすると、Sちゃんのお誕生日ケーキとお花が出てきました。私は、これがしたくて色々と手配をしていたのでした。Sちゃんはすごくびっくりしていました。
Sちゃんが喜んでくれたことが、とても嬉しかったのですが、同時に、私もちゃっかりお姫様のようになれたことも、とても嬉しかったです。
バーテンダーのお兄さんから、「何泊くらいするご予定ですか?」と聞かれたのですが、私はしがない大学生で、しがないお金をはたいてノコノコとやってきていたのに、そのように質問してくださったのは、絶対にこの一張羅のおかげだと確信したのでした。
上海
今週のお題「自慢の一着」